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『ケープ・フィアー』 [2014/04]

この4月に引っ越した。
メトロン星人.jpg
18歳で上京してから
31年住んできた吉祥寺駅周辺から、
隣りの三鷹駅周辺に引っ越した。

井の頭にも25年ほど住んでいたので、
故郷から離れた気も、少しした。

井の頭から離れることは
半年ほど前から心の中で決まっていたのだが、
なかなか踏ん切りがつかずにいた。

なんで動けないのかなー
と思っていたのだが、
それは
「恐怖」からだという事がわかった。


映画『ケープ・フィアー』を
レンタルのブルーレイで観た。

観たら、
昔に一度観ていたことに気づいた。

ただ、
昔観た時より、
今回の方がかなり怖かった。

ロバート・デ・ニーロが復讐鬼を演じた
スリラー映画。

16歳の少女をレイプ、
裁判の時、
弁護にあたった弁護人が言うべきことを裁判で語らず、
そのため
情状酌量されず、
7年間の服役を命じられて、
ついでに刑務所内で罪を犯してもう7年、
計14年間の刑務所暮らしをしてきた男。

そのデ・ニーロが
積もり積もった恨みを晴らすべく、
執拗に弁護士一家を追い詰めていく物語。

その復讐鬼も
キャラが素晴らしくてかなり怖いのだが、
他の登場人物が
また輪をかけて怖い。

かつて犯した夫の浮気を、
一度は忘れたはずなのに、
やっぱり永遠に許せないでいる弁護士の妻。

家族の敵である復讐鬼を
危ないヤツと思いながら、
口づけしてしまう思春期の少女。

法の使い手でありながら、
復讐鬼の魔の手から逃れたいがために
暴力に頼ってチンピラを雇ってしまう弁護士。

誰も彼も怖い。

彼らの弱さが身にしみてわかる。

昔観た時には気づかなかった怖さが
映画のいたるところ、
全ての登場人物に配置されていた。

そういうことがわかる
年齢になっていたのだ。


映画の中では
具体的には描かれていなかったが、

15年前、
なぜ、弁護士が言うべき事実を言わなかったのか…

「レイプされた少女が淫乱だった」
ということを裁判で示さなかったか…

を考えると、もっと怖くなった。

その頃、
弁護士一家には新しい家族ができたばかりだった。

生まれたばかりの娘。
1歳になるかならないか。

そんな時、
レイプ犯の弁護にあたった弁護士。

レイプされた16歳の少女は
とっかえひっかえいろんな男と寝ていた。

思わず、
自分の娘の未来を重ねてしまっただろう。
そして、
同じような16歳になる可能性を
否定し切れなかったのだと思う。

そして、弁護士自身も
浮気症でかなりのスケベ男。

よく知っているのだ、
どんな男でも欲望を抑えきれないことを。
誰でもレイプ犯になる可能性を
持っていることを。

だから、
デ・ニーロのレイプ犯に味方せず、
刑務所に送り込むような弁護をしたのだ。

自分や自分の家族が持っている
弱さや危うさと対面せず、
いつか起こるだろう危機に対して
知らんぷりしちゃおうとして、
罪人を
自分の目の届かないところに放り出したのだ。

なんて弱いんだろう、
なんて怖いんだろう、人間って。

失いたくないのだ。

今、持っている安定を。
今まで作り上げてきた自分の顔を。


俺もおんなじ。
だから、
なかなか引っ越せなかったのだと思った。

よく知っている隣り近所。
いつものスーパー。
友人。
馴染みの飲み屋。
安心。
見慣れた顔と見慣れた景色。
居心地の良さ。
挨拶してくる子供たち。
理由のない自信。

そんなものを失うことが怖くて、
なかなか引っ越しできずにいたのだ。

自分の恐怖を知ることは
自分の弱さを実感することなんだなあ

と思いながら、
夜中、
新居の近所にある
小さなラーメン屋の暖簾をくぐった。

初めての店。
ちょっと怖い感じのオヤジさんがいた。
ドキドキしながら
ビールを一本頼んだ。



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